sonnet/おぼろん
 
蜘蛛に羽根を?がれた蝶のように、
貴女は苦しみに満ちた微笑みを浮かべていました。
(海が頌歌を歌う)
貴女は他人(ひと)を救っても良いのです、

その心には優しさと慈愛とが満ちているのですから。
そうして、草がなびく草原にひとり佇むように、
声にならない声で唱和しても良いのです、
すべての人の心はつながっているのですから。

貴女が誰かを憎む時、それは貴女が貴女を憎むとき。
だから……貴女はすべてを宥(ゆる)そうとするのが良いでしょう、
太陽が西の地平へと落ちる前に。

貴女の微笑みを、誰かは嘲笑いましたね。そのとき、
貴女はどれほどの苦悶の表情を浮かべていたことでしょう。
でも、それはもう過去のこと。いま、貴女は誰かを救っても良いのです。
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