いくつかの即席詩/宣井龍人
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過去は戻らない
記憶を終の住まいとする
過去は消えない
静寂と闇に同化して忍び寄る
それはまるで不治の病であるかのように
後悔と苦痛を与え続けるためのかのように
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柳は優しい無数の手を垂れ流し風に揺られながら香りを放つ
小さな若い女がひとり
私の体は宙を飛ぶように軽く何故でしょう?と呟く
またひとり小さな人らしき者が優しい手の間から現れる
体の半分が暗闇から動かないと呟く
よく見ると柳の無数の手の間や下に無数の小さな人らしきものがいる
皆呟いてはいるが会話はない
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陽光に指先を伸ばす幼子
見えない蝶が笑顔と戯れる
雲間から垂れ下がる階段
悲しく錆び付き切れている
空は命を積込み重くなる
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雨ではない
一粒一粒の雨粒だ
雨音が聞こえる
雨粒の声ではない
震えている
ピアニッシモに
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