常にこめかみにあてられた銃口が囁いている/ホロウ・シカエルボク
 

漆黒垂れ流す深夜、息の絶えた獣の響かぬ声を聞きながら、寝床の中で目を開き、湿気た記憶の数を数えていた、思えば必ず身内の誰かが脳を病み、自我を曖昧にし、かろうじて自己紹介が可能な程度の人生を生きていた、それが宿命といえばそうなのだろう、けれど俺はそれらの要因をすべて、こんなものに注ぎ込んできた、リズムを手に入れれば狂気は甘美になる、もしか俺はずっと幼いころから、そんな手段を得ようと躍起になってきたのかもしれない、こうして考えてみるとそれは、叶ったような叶わなかったような奇妙な感触ではある、しかし結論など問題ではない、それがあろうとなかろうと砂時計は繰り返し反転する、同じといえば同じ、違うといえば
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