流木は言った、他/道草次郎
 
「流木は言った」

ここまで まるで散文のように 諸国をめぐり歩いてきたが 詩の路地裏には この靴は硬すぎた テクストなど 情感を回る素粒子に過ぎない 詩人は そっと何かを置くだろう それでいいんだ いや それがいいんだ 旅に出る雲などいない 謙虚な流木が ある日 そう言っていた。


「変換率」

くしゃみをしたら プロペラと尾翼がバラバラになった じつによく計算されている それは喩えるなら 羽をたたんだ鳥たちと見分けがつかない 巨人労働者が空港では列をなす レインボーの気持ちの若者が マリアナ海溝を泳いでゆくふしだらな地元民たちを 眼で差配している 思えば
[次のページ]
戻る   Point(2)