ついーと小詩集6/道草次郎
 
「耳」

音楽の
靴裏には
かなしみの泥
音楽には
色彩があり
いろはない
雪がまう
いろがほしい


「早計」

この詩は
誰かを嫌な気分にさせることだろう
その事に耐えられない気もする
ぼくは人生を楽しむタイプの人間じゃない
古生物学や哲学にも
芯から熱中できないから
ホッファーの『波止場日記』より
どちらかというと『神谷美恵子日記』を読むべきだろう
それか 旧版の『夜と霧』でもいい
ぼくは
そういう人間だ
そう言ってしまうのは
でも
早計に過ぎるけれど


「ユートピア」

遠く
果てしなくとおく
そこは離れている

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