セピア色の約束/st
昨日の夢は
ふるい時間の
においがして
いたるところに
ふるい時間が
しみ込んでいた
やさしく迎えてくれた
さびれた建物の部屋のなか
机の上に
ポツンと置かれた写真に
なぜか泣けてきて
音もなくまわる映写機が
セピア色の映画を映し
いつか見たことのある
美しい少女が
たわむれていた
春まだ浅い庭の
咲き始めたばかりの
桜の木のそばで
何か言いたそうに
僕をみつめながら
たたずんでいた
いつか見たことのある
美しい少女
そうだ
約束していたんだ
と
後悔に
胸が痛くなって
やわらかな
春の朝陽のなかで
目覚めた
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