帰る場所がなくなってしまった/こたきひろし
居場所がなくなって
途方にくれてしまいかけてる
キスなんて一度か二度しただけ
そんな唇を舌で舐めても
そりゃ渇いているだけさ
日は落ちて
周りは昏くなっていく
ためしに心臓止めてみたくなる
そんな気持ちに沈んでいくんだ
ポケットの中のカードは
パスワードをわすれてしまいそうだ
未だに解けない謎を幾つもかかえたまま
壊れて朽ちた
イスから立ち上がる
スイッチの入らない
夜の方角ヘ歩きだすと
遥か遠くで砲弾が爆発し
多くの犠牲者が出ている気配がしている
もう完全に
居場所はなくなってしまいそうだ
これから
どうすればいい
行く場所には
死者が累々と倒れているだろう
このままでは
帰る場所もなくなってしまいそうだ
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