忘れじの/a i
 

忘れじの、なんのその。
今日も、愛すべき君への歌を詠う。
酔っぱらいのほうが、人生の花見坂はあるきやすいのだ。
尊き君に歌を詠う。

欲の渇望と権力への吐き気。
まるでなにかを産みだす余興かのようだった。

愛して呉れた人よ。刹那の時間よ。
君が遺してくれた言葉を。
あの日から、刹那の時間を繰り返している。

たとい、長きに渡る付き合いであろうとも、血の繋がった家族であろうとも、どこか人間との絆が希薄であるように感じる。

*

追いかけた残像。初めから偶像。
なにかを型取った模型でしかない、心が、心だけが、切なげに蠢いている。
刹那の出会いは、切ない別れで
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