祈る命/津煙保存
 



その命を持ち上げた
紙風船の重さ
だった
睦月
午後3時の淡い光
風の休む
駅の
ホームの隅で
ベンチの上
眼を閉じ
空を仰ぐ
翼の両端を胸に
祈る
重ね合わせるよう
光のなか
濃い影を広げた
一羽の鳥
なぜ
沈黙が返した
そっとすくいあげた
飛ぶのではない
風にまかせて待つ
対話する
ふわりと
時の
波乗りたちのような
まだ
美しく満たす
ぬくもり
祈る
軽かった
命を





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