比抵抗の終わり/竜門勇気
 

苦い味は、僕の舌の上の幻想です
僕が怒り狂って壊したものはきっときっと
償いますから許してくれませんか
苦い味は、僕の感情の元にある特性です
僕がいくら怒り狂い、焦げ落ちたとしても
なにもあなたには関係のないことなのです
償いますから許してくれませんか
僕はまだ、何を持って償いが始まるか知らないのです
ですから教えていただきたいのです
僕から何を差し出せば償いが始まるのか知りたいのです
そうです、この苦い味は僕が思う罰の幻想に過ぎないのです
そんなものはどこにもない事がわかっているのですが
想像し続けているのです
貝の一生を考えるとき海の内側にある砂の一粒を考えるでしょう
数えるようにして、触るようにして、その手触りが爪の間に入り込むまで
ただ思い続けるでしょう


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