眠りの谷へ/道草次郎
 
あなたが皐月に通えてたら、わたしたちきっと友だちでいられた。あのAの置き手紙、なに今更?気付いたふりして、今そうやって笑ってみせて。

これは夢、そう夢の会食で、わたしたちは久しぶりに偶然居合わせた中学の同級生。

最後まであなたは、黙っていた。

まるで初対面みたいに、その後どうしたとか、誰かと一緒になったのかとか、子供はいるのかとかそういう話は一切せずに、不思議なレクリエーションを満漢全席が運ばれてくるこの会食の疵口に上塗りしただけ。

あなたは、なんなの?もちろん、わたしにこう言わせているのはあなたの無意識よ。

でも、Aの置き手紙、読んだでしょう?
Aは余命僅かの為退
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