春の花/田中修子
 
ンスを使った後、
きゅっと髪をねじってから、きれいに髪をすすいでいた。

花柄の水色のタイル、ふたりははだかで水音が流れる。

そうだね、小さな戦争がありました、あれから、幾度も幾度もありました。
おおきな戦争のせいで、
あなたは私の母を愛せなくって、母は歪んで、
かわりにあなたが私を愛したから、
あなたが逝ってから、母に妬まれたんです。
苛め抜かれたけれど、いまとなっちゃあ、可哀想で仕方がない。

新聞の灰色の中に、おおきな戦争もありました。
父も母も、笑いながら戦争反対の集会に行っていた。

遠い、遠い国の、血を流す人の、痛みに泣き叫ぶ人の、
あの日のように、硬
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