海のパース/新染因循
海よりもとおい海の
浜辺には声の真空があり
水と石だけがきざまれて在る
列島の等高線をきりおとして
おんなたちは口々に
あれが星の曲率なのだとささやく
だがひとえに言ってしまえば
彼女らもまた
遠近法のパースの直線だ
くずれていくのはいつも
ちかい という言葉からだ
どこまでいけばいいのだろうか
時計の針はすきとおり
水泡のなかになにもかもを なげ
またおんなたちがささやいている
わたしは青ざめ
枯れた汗は燃え上がり
波音のふるえだけがたしかだ
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