ついーと小詩集/道草次郎
「雨」
夜の雨の音がする
夜の雨の音の匂いがする
いや
夜の雨の音の匂いの音がする
ちがう
夜の音がする
うん
そういうことだ
「朝」
朝
朝のくらさがある
まだ
くらい朝のなかに朝がある
朝は
あかるさではない
朝は
記憶の無い夜だろうか
「おおきいとちいさい」
とてもおおきなとき
ちいさなもののちいささはおおきい
とてもちいさなとき
おおきなもののおおきさはちいさい
「過去」
レモン色のB6サイズのノート。
覚悟のない眼差し。
HBより薄い線の矢印。
ページの四隅で泣いている人。
泣いている人。
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