白川夜船/あらい
 
まわる。
 螺旋のていでモビールのさまで、
回帰する 転落してしまう。
 そして
あゝ崩れ去る
(万華鏡の儀 彼岸花の葬)
 なだれ込まれたら 受け止めきれない

 張りぼての壁面に無造作に焼き付いた
 未完彩《ミカンイロ》の滲みは点在し 気のせいではないけれど、
 あたり障りなく仄かに紛れ込み 暖かく湿っている
 漆喰の凹凸のように、肌膚《はだえ》に馴染んでいきました。
 私が透けていくさまを知ら占めたのは、もうずっと
 過去の事でしたか。それとも先の話でしょうか

それは恐ろしくはない。だけど好きでもなかった。

 まあるいたまごに罅が、
 やや舌を出し入れ
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