無題/空丸
 
なかったように。

  *

ひざっこぞうを陽にかざし、飛行機雲を一本ひく。
西瓜の種をどこに飛ばそうが自由だった。
あの頃はどうでもよいことなど一つもなかった。
遊び疲れた子どもはくるくる回りながら子宮に帰る。

  *

何人かの思い出の中にぼくがいて適当に処理されているのだろう。
白黒の縁側で笑っていた。
後ろ姿は朝に向かっている。
最終ページは書きかけのまま。

  *

知らない街を歩く
足音高く 但し気付かれないように
恋の始まりのように
戦場のように

  *

私をデザインし
街角に私を置いて
景色を変える

  *


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