ぼくは華麗な洋服を怠そうに着て/道草次郎
ぼくは華麗な洋服を怠そうに着て
傷口からにじみ出る滲出液の水路を跨いでゆく。
ふたたびすべてが鋳直された火曜日や
二十億年前の晴れた木曜日や
遠い外国の豊かな安息日__などを思い出しながら。
打ち壊された筏の群れがにょきにょきと立ちはだかり
今日という何処にも無い聖堂の空気椅子みたいな物語に一々腰を下ろしに行く。
裏通りや暗渠や排水バルブの中にさえその身を擲って。
(ぼくは、ただ捨てたいだけ)
海底に眠るペルム紀の神学は
魚と石炭夫のためのもの。
じっさい提灯鮟鱇の灯はやさしい温暖は思想だ。
歌いながら尾根を降り
いざ時の世界は夕影となり果てて
星、俯瞰。
(かなしみ そのものは
終に、かなしまれることはない)
ぼくはただ捨ててしまいたい
と、そう希っている。
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