ペンギンの赤ちゃんのふわふわなお尻/道草次郎
らなくてもそれを使った機能は取り替える必要がある、らしい。でも、なんで?なんでペンギンの赤ちゃんはよちよち歩きをしなきゃならないんだろう。そして、なんで巣立ちを迎えなければならないんだろう。
たくさんの研究成果はその問いに答えを与えるだろうけど、どの答えもきっとペンギンの赤ちゃんの心を描くことはできない。
そう言えば生き物の体にとって不可欠な重い元素、これは圧壊した恒星の内部でしか作られないものらしい。太陽系が誕生するずっと前の話だ。
全く、宇宙ってやつは一体何をしたいのか皆目見当がつかない。
ペンギンの赤ちゃんはお母さんペンギンに促され、やっとのことで岩場へと転がり落ちる。ムクリと身を起こしたその先には荒ぶる大西洋だ。風は強い。でも、一生懸命に立っている。
頑張れ。
そうおもった瞬間いきなり画面にモザイク。ああ、なんてこった。このタイミングで無料放送終了らしい。
ぐにゃぐにゃした塊が動くのを見ながらもう一度心の中でつぶやく。
(うまくやれよ、兄弟。)
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