詩の日めくり 二〇一五年七月一日─三十一日/田中宏輔
 
つくったひとがまとめたものだったんだろう。それとも全文だったのだろうか。でも、あとで読んだ翻訳の分量を考えると、いくらなんでも全文ってことはないと思うんだけどね。まあ、いいか。あ、それで、ぼくが、なんで、こんな話からはじめたのかっていうと、受験生だったあのときに疑問に思ったことがあって、あとで翻訳で読んだときにも、やっぱり同じ疑問を感じちゃって、それについて書こうと思ってたんだけど、いったい、あのグレゴール・ザムザは、自分の意志で一匹の甲虫になっちゃんだろうか。それとも、自分の意志とはまったく無関係に一匹の甲虫になっちゃうんだろうか。はっきりとしない。無意識のうちに甲虫になることを願っていたってい
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