未生/道草次郎
 
一つの言葉の奥にせきとめられた逡巡の十をこえ
またひとつ雫のような朝の歌、のぽとり。

いちばんよわいものごと抱きとめて、糸の筋肉、糸の腱。それな御蔭で平和の夜の気球に乗ってゆける

(われわれはうちゅうせいぶつだ。)

われののぞむのは一つのあいまいなるイメイジを波紋すること。
げんじつは、げんじつは、
それはいきなりぶったぎられちゃうのだもの。

(げんじつをドリップするにつかう濾過紙のうすさ、うすさなるままなる我のまなじり。)

ぅん。けれども、この何もかもが暴力的なのがぼくは、とても、とてもイヤ。

(未生なる花の夢にてうつくしく死す、かな。)

また、ぽとり。一つ、青緑。
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