セピア/道草次郎
 
早熟ではなかった

むしろ遅かった

休み時間のサッカーが大好きで

本はジャンプだった

十四の時に初めて詩を書いた

校庭の桜がこわくて仕方なかったから

寝袋は買ったが

けっきょく使えなかった

みんな次々に砂場を卒業していった

気付いたら一人ぼっちだった

今でも行けない場所がある

そして

会えない人がいる
戻る   Point(3)