防波堤にて/
カマキリ
さびしい場所はきっとお互い似合わないよ
端っこに腰掛けたふたりは口を開けない
不幸せに倒れ込んだ先
マッチを擦る音がして振り向いた
傷をかばってできた傷がここにはあるんだぜ
いやしい光が穏やかな闇になって
いよいよ動けないふたりは
落としたサンダルを探すついでにおとなになった
それでもまだ嘘は心地よくて
感傷を瓶の中に閉じ込めた
触れたらまだしみる生々しいこの足跡に
いまは寄り添ってしまいたいんだ
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