ジョバンニの朝/妻咲邦香
星の砂巻き上げて海沿いの駅走り過ぎる
2つに折ったトレイルバー、大きい方を黙って差し出す
肩先にまだ残る燐光、振り払いもしないで
先頭車両はまだ寝てるみたい
窓を開け風を誘い込む
飛ばされないよう帽子を押さえ
足下で綿毛がくるくるとまるで子供のように
もう行ってもいいかな?
もう行ってもいいかな?
お喋り夢中になり過ぎて話は何処も行き止まり
呆れて見てる君のチャイム鳴らし続けて
大人の振りが楽しかった時代
壊れたように泣いたことも
背凭れに身体預けて思い出した頬杖という名の魔法
もう行ってもいいかな?
もう行ってもいいかな?
こうして向い合わ
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