風の歌を耳に/道草次郎
った苫屋や古井戸の暗ささえそれは照らします。手折られたら手折った手をも彩り、虫とだって喜んでわらって暮らすでしょう。
とてもちいさな時わたしたちは、おおきなもののおおきさを小さくしてしまいます。ぎゃくに、とてもおおきな時わたしたちは、ちいさなもののちいささを繋ぎとめる宝玉になれます。
地球はたちがれの樹立。砕けた月の破片でもって切った小指からしたたった血は、たしかにひとつの感受をもたらしはするでしょう。けれども、やっぱりおおきな腕で四つ葉のクロォバを摘む巨人となりたい。そのきもちの本当は、これから起こる一々すべての穂波と歩幅を合わせる潮風に、聴くこととしましょう。}
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