風理、他/道草次郎
 
「風理」

退屈そうに
地球儀をまわしていた
かみさまが
ふとした拍子に
ついたためいき

あたし
地図は読めないんだけど
風図は読めるの

ぼく
地理は苦手だけど
風理は好きだな

おれ
航海図なんていらないぜ
風に吹かれるままさ

風理の理が
まったくの気まぐれに
産みおとされことを
知る人はいない


「もっと堆積させろ」

暁の氷柱光らす軒先に
ジュラ紀みたいな月がいて
振り向きざまの俺に
こう云った

もっと堆積させろ
もっと堆積させろ

俺は何だか嬉しくなって
にわかに
冬の空へと駆け出した




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