豆腐のうた/七
バスは満員
電車も満員
ひとびとは水底に四角くならんで
青くひかる
ぶつかり合わない程度に
ゆれあい
いつか
自由になれるんだろうか
乗り物を降りると
豆腐屋が通りをゆく
白い直方体のかどをぶつけないように
ゆっくり
ラッパを鳴らして
夕焼け雲を味方につけて
朝の死にたい気持ちはいったい
どこへ行ったのだろう
ふたつの音程のはざまに
わたしはそっと隠れて
豆腐屋についていくところ
なにか見つけた気持ちがうすい膜を破りそう
ならんだ脆い直方体がゆれる
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