鳥はなんでとぶか/道草次郎
鳥はなんでとぶか
この謎をしるものはいない
人がなんでとべないか
これも誰もしらない
仮説を枕にみる夢は
打ち続く杭となり
惑星の地平線を覆い尽くす
繋ぎ止める物語が無ければ
ばらばらになる多数の宝石たち
わたしたちの無知は
驚くほどうつくしい
鳥はなんでとぶか
それは
とぶからとぶのだ
鳥の翼に灯った火種はそう言うだろう
鳥の内奥深く砂嚢はそう言うだろう
鳥の中の竜脚類の記憶はそう言うだろう
問うてはならない
問いもある
樹陰でそれとなく羽を休める永遠
どれを読もうにも
疲れた本しか
もうこの星には見当たらない
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