無限への疾走/道草次郎
もどこまでも昇ってゆく 想像を絶するメカニズムの快感に溺れ 墜落する事でさらに上昇気流を我がものとする
この小さく閉ざされた頭蓋 その下の残酷なあぎと 声帯など既に灰燼に帰して久しく 矩形の無惨な不具の島 それは狂いピエロの餌食となるであろう 俺の内奥深くには刑務所のようなランゲルハンス島 脾臓の裏庭には不潔なパオが張られている
「原人」 どこからかそう呼ぶ声が聴こえる 「灯りを消せ!」 とも 「心拍確認を怠るな 識閾の離島に艀船を縛れ!」とも 血糊でできた棍棒を振り下ろす祖先 おお高鳴るツァラトゥストラの偉大 それは死んだ冥王星の蒼白い相貌
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