隕石のながい尻尾/道草次郎
 
{引用=「プロローグ」



 これからここに記すそれぞれに違ったかたち(そして切れ切れの)でのエピソードは、俺が或る月のない晩、夜気に頬を冷まそうと戸外に出た折に、まったく偶発的に何処からか送られてきたものだ。
 それははじめ、黒い地下道のような気味の悪い夜を透過してきたイメージを俺に与えた。それからしばらくしてそれは結晶化した太陽風の印象を俺の頭蓋の井戸に落としていった。じつに変容力のある多彩な情報が、たちまち、俺の脳に原色の夢のような痕跡をとどめた。 それはまるで、金属のあげる喘鳴、正立方体の宿痾、あるいは石膏ボンドの困惑という一見何の連関も無さそうなイコンをばらばらに並べた
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