異世界の人/木葉 揺
初めはそんなこと知らなくて
何でも通じると思ってた
あなたが男だから
わたしは女であって
この世界のふつうと思ってたから
違う世界の人だなんて
思わなかった
違う世界も男と女があるんだ
同じ音を発してるのに
意味してることが違う
あなたにはキスは挨拶で
私には愛の確認
あなたは私を
「異世界の人」と言う
でも出会った
目的なんてなかった
二人で作ってる空間もあるでしょう?
二人の時しか生まれない空気もあるでしょう?
でも知ってる
日が浅いのに
もうズレて来てる
すれ違ってきてる
そのうち薄い壁ができて
私がドンドン鳴らすでしょう
ドンドンするたび
厚くなる壁だと知っていながら
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