カスタマーサービス/中田満帆
「ほんとうになにも書いてないの?」
「そうとも。――見るか?」
「いいの。あなたが書いてないってゆってるから」
そのままかの女はベッドまで歩く。きのうはかの女も自身の体液でハイになってやがった。何杯もショット・ガンを呑み、ばか笑いに興じてた。おれは書きものを保存して、PCを落とした。それからひとり、シロック・ウォッカをやりながら、鞄にリストや、精製についての覚え書き、そして希釈してない、まったくのオリジナル・ジュースを3つ入れた。これでよし。あとは夜明まえに出発するだけだ。
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ひとはじぶんの虚無のなかに棲まうことはできない、じぶんの快楽のなかで生きることもで
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