銀焔絶歌/道草次郎
 
銀焔
このように堕することはたやすい
いつだってたやすいものだ

天の星に看取られ
それでもなお辺獄の河を下っていくことは
或いは想定されはしたが
あぶくとともに沈んでゆくのが
こんなにも苦しいことと知ってからは
知らなければどんなに良かったか
そればかりを思い
投錨された意識を
イタチザメに喰わせてしまいたい一心だった

雪原
くれないの実は
したたる冬の鮮血なのだ
たとえば
裏のナナカマドがそれだ
はるばる
はるばると
這いつくばって来てはみたものの
まだ信濃川だ
どうにも青鷺ばかりの目立つ
青黒い流れの鬱血の風だ

死相
つくづく幽冥の地
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