初恋の描き方/空丸
音楽室
あなたが好きな曲を何でも弾きこなせるようにピアニストになるよ
あなたが好きな曲を何でも弾きこなせるようにピアノになるよ
高原
今はもう存在しないかもしれないその星に
昔の恋人の名前をつけ
満点の夜空にそっと紛れ込ませる
帰り道
夕焼けよ しばらくそうやって染まってなさい
椅子に座って
哲学的で
詩的で
革命的で
機智的で
屋上
沈黙と
快晴が
二人の間にあった。
返信
「私たちは宇宙の星になるのではなくて星と星とを結ぶ空間にならなくてはいけないのです」
一七歳の君は余白に書いた。
思い出
君に恋さえしなければ君ともっと話ができたのに
何も始まらず、何も終わらず、
後悔だらけだが、疑いはなく、
日照り続きでも花は枯れ、水をやりすぎても花は枯れる。
足跡を残すために砂浜はあり、足跡を消すために波が追いかけてくる。
*
それは、日曜日の田園風景に似ていた。
君に軍服は似合わない。地球儀に「故障中」と落書きしたあの日、―――
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