PTSD/秋也
 
夢の狭間
雪の中に閉じ込められた子供たちが震えている
「ずっと寒いんだ」
真っ白に伸ばした手を救いに行けば
私が取り殺されそう
雪にどす黒い血の跡が這う頃
逃げ出した
白い息を吐きだして
白い息を何度も何度も
「なんで逃げるの」
痛いんだ寒いんだ寂しいんだ
もう殺したくないし、殺されたくない
涙がつたい凍ると
どこからか私は頭を撃ちぬかれた
死ねない倒れない
二発、三発、弾丸が容赦なく頭を通過し破裂する
ハレルヤハレルヤ
やっと暖かい場所にいける
鮮血がかき氷のシロップのように落ちる頃
それでも死ねない私は
化け物だと自覚した
殺す狙撃手は人間なんだろう
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