漂流/道草次郎
 
「漂流」

気が付くといつも善悪の島に流れ着く。



「地球動物園の《人間山》」

自分にどこか似ているが自分より脆そうな猿、そんな猿がいると、猿は安堵する。そういう猿の存在が猿山での退屈な一日を乗り切らせる事が実際にあることを猿は知っている。その猿も他の猿にとってのそんな猿であり、他の猿もまた別の猿にとってはそんな猿である。どの猿もが他の猿にとっての不足した猿であり慰めの対象なのだ。みくびられ侮られ、ときには糞を投げつけられた者は、みくびり侮り、投糞をした猿への報復をすでに果たしており、それでいて常に報復の脇差の餌食にもなっている。その報復の応酬を猿が眼前の猿との関係のみに見い
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