音楽へのオマージュ(一部改訂・付け足し)/道草次郎
 
の間隙に沈められてゆく悲哀
の律動/震え
たおやかなる叫び
収束する拡散の美しい調律もよう
淵よりたちのぼる
地の神のやさしき息吹と
頬ふれる指の白色
巻き上がる砂ののこす
かくされた熱い波動
世界を糸くずにしたまま
乙女の記憶はうつくしく凋む
幽かな
枠ぐみだけを遺して


----------------------------
ジュ・トゥ・ヴー/サティ/2008年10月31日

たとえば
ヴェネツィアの
幽玄なる水路に
一艘の舟が漕ぎ出だす


すると
晴れかかった霧が向こうから
とつぜん
軽快なリズムの
石階段をかけ降りる足音が

[次のページ]
戻る   Point(3)