詩の日めくり 二〇一四年十三月一日─三十一日/田中宏輔
ちょうど良い具合に
見えるとき
見えるようになるとき
ぼくは考えた
事物を見ているのではない
光を見ているのだ、と
いや
光が見てるのだ
と
夕暮れがなにをもたらすか?
お風呂場では
喩をまねる
喩をまげる
曲がった喩につかった賢治は
硫黄との混血児だった
自分で引っかいた皮膚の上で
って、するほうがいいかな
だね
キュルルルルル
パンナコッタ、どんなこった
二〇一四年十三月三十一日 「プチプチ。」
彼が笑うのを見ると、いつもぼくは不安だった
ぼくの話が面白くて笑ったのではなく
ぼくを笑ったのではないかと
ぼくには思われて
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