詩の日めくり 二〇一四年十三月一日─三十一日/田中宏輔
界にはただ1冊の書物しかない。」
「世界にはただ1冊の書物しかない。」
と書いてたのは、マラルメだったと思うんだけど
これって
どの書物に目を通しても
「読み手はただ自分自身をそこに見出すことしかできない。」
ってとると
ぼくたちは無数の書物となった
無数の自分自身に出会うってことだろうか。
しかし、その無数の自分は、同時にただひとりの自分でもあるわけで
したがって、世界には、ただひとりの人間しかいないということになるのかな。
細部を見る目は貧しい。
ありふれた事物が希有なものとなる。
交わされた言葉は、わたしたちよりも永遠に近い。
見慣れたものが見慣れぬものと
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