詩の日めくり 二〇一四年十三月一日─三十一日/田中宏輔
 
矛盾律を利用したもの。しかしこれって、いつも思うのだけれど、排他律と同1律の応用でもある。まあ、エンプソンは、それを「曖昧」という言葉にしているのだけれど。そういえば、対立する意味概念の同時生起って、ぼくが『舞姫。』で書いた「過去時制」と「未来時制」の同時生起に似ていて面白い。孫引きのフロイトの論文に、未開人の言語に、対立する意味概念の1語への圧縮例が出てくるのだけれど、これって、ピポ族の無時制言語に比較できるかなって思った。ただし、エンプソンは、未開という概念ではなく、対立する意味概念の1語への圧縮を「繊細さ」と捉えているようだけど、ぼくも、リゲル星人の言語を「時制のない言語」、「名詞と助詞のみ
[次のページ]
戻る   Point(12)