愛着/
やまうちあつし
無人の駅で
日曜の校舎で
ページを閉じると
すべりこむ花びら
五年後に会うだろう
そのとき同じ細胞は
ひとつも残っていないのに
なぜだか同じ人のまま
性格の悪さと
愛想のなさに
ナナホシテントウ
愛が着く
言葉の端々
いやむしろ
沈黙のさなか
醤油のしみがつくように
誰かの匂いがつくように
ひとりよがりと
ないものねだり
人間の限界
ビルの屋上に乗っかった
丸い月
そこに人影
猫みたいな言葉探して
ごめん
遅くまで
愛が着く
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