卵化石/田中修子
 
でできたトリケラトプスのわたしは、ふるふる震えているミニお兄ちゃんをうしろにまもり、突進して、しゅんとした父母・ティラノサウルスを三本角の頭突きで追い返したあと、ソテツの宝石みたいに赤い実をカリリカリリとたべてお腹がグルグルしちゃうんだな。

上野駅で迷わぬように、父が手をひいてくれる。父の手は、銀色の製図用のペンで設計図を描きなれた乾いたさらさらのぬくもりで、書きダコがあって、深いあったかい肌色をして、神さまみたいに大きかった。父のつくった偉大な建造物を、わたしは生涯乗り越えられないだろう。もし父が逝っても、あのひとの巨大な足跡は、各地に残り続けてるのだから、さみしくなったら、彼が設計に携わ
[次のページ]
戻る   Point(15)