さっぱり書かなくなり/道草次郎
さっぱり
書かなくなり
箱庭のような
自己愛を
感じる
ものを考えると
考える米が
かたいから噛むと
歯が抜ける
詩を
書いたことがあった
人に見せると詩は
ミルクセーキになった
メタセコイアの所以が
外套を羽織っている
冷や飯を食いながら
黒い外套で
詩情は
たしかに風だった
電信柱がななめに
ダム湖の底へ沈んでいくように
詩情も
浮力をわすれていった
中学生のころ
恋をした
恋を殺して恋をして
ドラクエ3のセーブデータを
全部消した瞬間から
すべての終わりがはじまった
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