あの日、冬の直江津海岸で/道草次郎
 
一冊のように
それは晴れていた

空は晴れていた
それが空だった

砂浜に突刺した過去形を
波が浚っていく

貝殻をひろうと
つい耳にあててしまう

貝殻のおと
それが貝殻だった

よせ返す波に三羽のアオバトがいて
来る冬にそなえ
海の水を飲み干している
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