ピーナッツバタートースト/ホロウ・シカエルボク
ても涙が出た。最後には、あたしはそれを抱きしめて子供みたいに泣いていた。
いま、そのトースターはあたしの部屋にあって、マリのようにあたしを見つめている。あたしは時々それでピーナッツバターをたっぷりと塗って少し焦がしたトーストを作る。カフェオレは嫌いなのでコーヒーを入れる。トーストもコーヒーも、すべてが温かく、それはマリが生きているとあたしに思わせてくれる。あたしは首を横に振る。親友なんて小奇麗なものじゃなかった。それは確かに腐れ縁という言葉が相応しい関係で、お互い正反対の性格で、そんなお互いがあたしたちは大好きだった。穏やかな朝に涙を拭きながら、あたしは初めてこの街を出て行くことを考え始めていた。
了
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