道草を食う/道草次郎
 
道草を食っていたら
道のおじさんに怒られた
おらの道の草よくも食ったな、と
ぼくは頭にきたから
走って家まで帰るとミケの耳をつねった
ミケはミャッと鳴いて逃げていった
次の日先生にその話をすると学級問題になった
道草君が昨日道草を食ったら
道のおじさんに怒られたそうだ
みんなも気をつけるように
道草を食ってはいけないのは
こういう理由のためなんだよ
道草君みたいに道のおじさんに怒られるのは
みんなもいやだろう?
するとみんなは
素直に大きくコックンとうなずいてみせた
ぼくは内心思った
ちぇ、どいつもこいつもハクジョウモノだな
それからというもの
ぼくは道草を食うのやめるようになり
代わりに油を売ることにした
油の仕入れにすこし手間取ったものの
油を売ることを咎める輩は
このあたりには
まだいないみたいだから
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