スノーディストピア 〜穢れた民の逝き道〜(短編小説)/月夜乃海花
いつ薬は買えるのかな。」
貯金箱を見つめるとあと三ヶ月程度で薬が買えるほどには稼いでいた。もう少しだった。
「ほら、スープが出来たよ。」
「はい!」
ナディエは率先して食器の準備をする。
「今日は珍しく野菜が落ちてきたんだよ。」
「本当ですか?!」
「このスープで少しはお母さんの病状が安定すると良いんだがねぇ。病を治すには栄養が無きゃ何もならねぇからなぁ。」
ソルディモの街に落ちてくるものはゴミばかりでいつも肉の破片や骨、腐った魚ばかりであった。野菜が落ちてくることなど滅多になく、あったとしても何処かの葉っぱなどよくわからない植物であった。
「久々に綺麗なスープを見ました。」
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