唄/
為平 澪
── 唄は、
広大な大陸で帝国を作りあげ
極寒の魂は白鳥に身をやつして岬で嘶き
地雷で吹き飛んだ脚、
長靴の音だけ残る国
*
最もよき者の声も攫われて帰らず
残れる者の頭もまた、攫われて返らず
歳月を背負い 傾いた空の下
嘯いた笑いを浮かべ 生涯を費やし
諳んじる唄に唇をかむ
朝の光が頭を撫でてくれるまで
死んだふりなどしてみれば
瞼の海から
唄がこぼれる
戻る
編
削
Point
(5)