11.30メモ/道草次郎
しかないということでもある。
世界の破滅に救われるような気になる人間もあるだろうし、世界の破滅にもかかわらず相変わらず救われることのない人間もあるだろう。破滅の間際においても変わらないことがあることは、大変おそろしいが、引きのカメラだと全く滑稽そのものだ。
分かっていないことを分かったように云うことを言うのは容易いものの、分かったことを分からないもののように言うのには、ひじょうな意識の倒錯が起こる。なぜなら、分かったことなど有り得ないのだし、ということはつまり分かったことはじつは分からなくもあるワケで、それについてさらに分からないことをみずからに畳みかけているのだから。それはまるで、混
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)