メモ11.24/道草次郎
 
もるべきかその範疇を見定めることこそ、倫理の扱うべき主要な事柄になる。そして言葉に関しては、語を発するとは即ちその範疇の無自覚な露見に過ぎない。しかし自覚的になると、語は消滅する。ゆえに詩は倫理から、永遠に遠い。倫理とは原理的に無縁なものとしてしか、有り得ない。詩に於いては、うつくしいものは唯うつくしいからという無底の根拠により讃えられよう。また、その絶大なる力は隔絶すらも包摂する。隔絶はその一瞬に昇天の夢をみるならば、それこそが恍惚である。詩とはそういったものとも言えるかも知れない。
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