境界/道草次郎
動き始めた電車
そうやって
キッチンへ起き出してくる
隕石がぶつかる
事でしか
できない約束もある
どこからか
鳥の声が聞こえる
詩人がよそる白飯に
川辺りをながすと
ナズナが鰹節を
受け容れて
見るにたえない
なにかは
言葉の檻で
しばらく安心させる
小窓の空は青い
手をこまねくことでしか
記せない
だから人は石で
石である前に人は人でもあり
だから
それも哀しい
光と陰の境界
それを見ないでおこう
境界の動きだけに耳はわらう
学ぶのと
生きるのとをなくし
太陽から
つめたい針を抜く
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